アローハンと羊 ーモンゴルの雲の物語ー

ある春の日、遊牧民の少女アローハンは、草原で親に見捨てられた子羊を救います。子羊は「愛しいもの」という意味の「ホンゴル」と名づけられ、その日から、アローハンとホンゴルはいつも一緒でした。ホンゴルは、いつでも、どこへでも、アローハンについてくるようになり、それは、大人の羊になっても変わりませんでした。アローハンがお嫁に行ってからもホンゴルは心の支えでしたが、ある晩、草原を大吹雪が襲って……。ー出版社より抜粋

最後の場面、こんな雲を描けるのは、地平線に囲まれた大陸の空を見て育った人だから。

アローハンという女性の成長と、羊との友情、そして、家族。

「いのちは、永遠には つづかないものなのです。わたしは、雲になって、これからも ずっと アローハンのことを 見ていますよ。だから、げんきをだして」

それにしても、遊牧というものに妙に惹かれてしまう。
モンゴルで地平線に囲まれて、大地の真ん中にポツンといる自分。

孤独ではなく、周囲とのつながりをより強く感じたっけ。

 

アローハンと羊 ーモンゴルの雲の物語ー
興安 作/蓮見治雄 文・解説
こぐま社/¥1,300/2007.2.10初版

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興安(Hingan)
1973年、内モンゴルの都市フフホトに生まれる。1992年、内モンゴル師範大学美術科に入学。大学では油絵、大学院では水墨画を専攻。大学院卒業後、草原の町の小、中学校で遊牧民の子どもたちに美術を教える。日本画に魅了され、2001年来日。2002年、東京学芸大学の研究生として日本画研究室に入り、2004年には、同大学院に進む。2006年、教育学研究科美術教育専攻課程を修了。『アローハンと羊ーモンゴルの雲の物語ー』は初めての絵本。

Susumu Fujita

20代から庭とこどもと本にとりつかれ、いまだその間を行ったり来たりしている。学生の時は旅人に憧れながらも、卒業後、土から離れられない農民になり、鶏と豚と野菜の中で過ごす。その後、札幌に戻り、絵本屋になる。庭プレス、ひげ文庫主催。