たねの季節到来

たねの季節がやってきた。昨日から、制作中の本の編集作業大詰め。外回りの仕事に目をつぶり、根詰めて友人と自宅で終日作業をしている。ここ数日、春の畑の準備の話題で持ちきりだ。その中でもたねの交換が楽しい。昨日の夕方も、友人が「たねの交換」をしに訪れてきた。なにやら黒米の種を手に入れたらしい。

畑に蒔く種もそうだが、地面の下では、それはもうたくさんの種が芽吹きの準備をしている。野々草花や野草たち。去年の種ばかりじゃなく、もう何年も芽を出す機会をうかがっていた輩もいる。誰も気にも留めていなくたって、条件が整えば芽をだすのだから、たくましい。根を伸ばし、双葉を伸ばして、葉を茂らせていく。茎を伸ばして蕾を育て、花をつけて、子孫を残す。途中で自ら引きこもったりしないし、太陽から隠れたりもしない。潔い(いさぎよい)種族。

草花と心を通じあわせられたら、励まされることたくさんあるだろうなぁ。人は植物に多く依存している。助けられている。改めて眺めまわすと衣食住全てだもんなぁ。庭っていうのは、そういう仲間たちが同じく集う場所。

種を蒔こう!だって、もっと、彼らと気持ちを通じあわせたいからさっ!

『たねのはなし 〜かしこくておしゃれでふしぎな、ちいさないのち〜』 ダイアナ・アストン文 シルビア・ロング絵 千葉茂樹訳 ほるぷ出版

 

Susumu Fujita

20代から庭とこどもと本にとりつかれ、いまだその間を行ったり来たりしている。学生の時は旅人に憧れながらも、卒業後、土から離れられない農民になり、鶏と豚と野菜の中で過ごす。その後、札幌に戻り、絵本屋になる。庭プレス、ひげ文庫主催。