壁の解体

D&DEPARTMENT HOKKAIDOマッキナフォトの1階への引越しが完了し、2階が空っぽになりました。さあ、本格的にろばのこの工事が始まります。D&DEPARTMENT HOKKAIDOを訪れたことがある方は記憶に残っているかもしれません、2階に上がってすぐのところに白い壁が1枚立っています。この壁は僕たちが作ったものではなく、入居した時からあったもの。美しく言うならビルの記憶を残すために、現実的には解体費用を削減するために、僕たちは壁を残しました。今回ろばのこが入居するに伴い、この壁が撤去されます。

庭ビルの基本姿勢は「できることは自分でやる」。つまり、壁が撤去されるわけではなく、自分たちで撤去するわけです。D&DEPARTMENT の2階に絵本とおもちゃの店がやってくると聞いてみなさんは、ほのぼのとふんわりした雰囲気を思い浮かべていらっしゃるのではないかと思います。しかし、どんなお店をつくるにしても工事現場は力仕事。どんなにやさしく語り掛けても、愛情を注いでも、コンクリートの壁は崩れてはくれません。壁を壊すためには、ハンマーを握りしめ、腰を入れて力一杯叩きます。汗が流れ、髪もメガネも埃で真っ白。この暴力的とも言える荒々しい現場が、みんなが集まる絵本とおもちゃのお店をつくります。壁にもたれかかって作業を見守るアンネ・コールシュミットさんの人形とTシャツにプリントされたエルマーとりゅう。さて、ろばのこ、どんなお店になるのでしょう、お楽しみに。

Shin Sasaki

デザイナー、D&DEPARTMENT HOKKAIDO のオーナー、一児の父。お酒は飲めません。学生時代にミニシアターで映写技師として働いていたので8mm、16mm、35mmの映写ができるのですが、その技術を活かす機会は20年で1度だけ。