ろばのこオープンまであと1日

絵本とおもちゃの店「ろばのこ」の移転オープンがいよいよ明日に迫りました。引き続き工事と引っ越しが並行して進行中。今日はオープン前日ですが、とても明日店がオープンするようには見えません。この光景、この感触、何かに似ています。そう、2007年に僕が D&DEPARTMENT HOKKAIDO をオープンした時のことを思い出します。面白いくらいによく似ているんです。このビルでもう一度こんな場面に立ち会うことになるとは。

D&DEPARTMENT HOKKAIDO をオープンした時の僕は臆病だったので、店づくりに集中できませんでした。収入源であったデザイン業を一時停止して、店作りに集中するだけの思い切りが当時の僕にはなかった。店をオープンさせるために数千万の借金をした力みもあったのでしょう。自分にかかっている重圧と同じだけの重圧をスタッフにかけたかったのかもしれませんね。その結果、スタッフと僕の間に溝が生じました。そこでナガオカさんに助けを求めたのですが、予想というか期待に反してナガオカさんは僕の味方にはなってくれませんでした。あくまで中立な立場を貫くんです。あの時感じた孤立感は今でも思い出せます。どうして借金してまでこんな苦しいことをやっているんだ、と思いました。でも、今はナガオカさんが、スタッフ側につくわけでもなく、僕の側につくわけでもなかった気持ちがわかる気がします。

新しいことが起こる時はワクワクします。そしてワクワクと同じくらいの戸惑いも生まれます。そのワクワクとイライラがぶつかると、それはもう凄いストレス。そんなわけでろばのこの店づくりでは、デザインの仕事をほっぽりだして、できるだけ工事や引っ越しの現場にいて当事者になるようにしています。もしかすると10年前に自分の店でやり残したことを今実行しているのかもしれません。そもそもどういう立場で現場にいるのか自分でよくもわからないのですが、ろばのこは藤田家のファミリービジネスですから、藤田家の一員になるイメージでしょうか。会計士には、もう少しがんばって稼いでくださいと言われているのですが、3階のデザインスタジオに辿り着く前に、つい2階で立ち止まりブラシやローラーを手に取ってしまう毎日。さぁ、あと1日。ろばのこ、素敵なお店になりそうです。庭ビルが本格的に動き出しますよ。

Shin Sasaki

デザイナー、D&DEPARTMENT HOKKAIDO のオーナー、一児の父。お酒は飲めません。学生時代にミニシアターで映写技師として働いていたので8mm、16mm、35mmの映写ができるのですが、その技術を活かす機会は20年で1度だけ。