子どもが子どもをしていることの豊かさ

保育園はこどもが1日の多くの時間をすごく空間です。どの街にも保育園や幼稚園、こども園があります。そして、その空間は園長や教師、給食やお掃除、用務の方など、様々な人たちによって支えられています。本当に大切な仕事だなぁと、あれこれ考えているうちに、保育園ってこども中心に据えられた社会の一単位なんだな、と気がついたのでした。それが保育園にとどまらずに、こどもを中心に据えた「街/国」まで広がればいいなぁ。そこで出会ったのがこの本です。この本の著者も「子どもの環境について考えることは、理想的な社会について考えていくことそのものだ」とあり妙に納得。

子どもは社会の中にあって、必要不可欠な存在。だって、仮に子どもがいなくなっちゃったら、そこは、そりゃ末恐ろしい社会です。まちの保育園にはコミュニティ・コーディネーターという日本初の役職の人がいます。どういう人かというと、「子どもの育ち・学びに地域の資源(人や施設等)を活かす」こと、もう一つは「保育園がまちづくりの拠点」として地域に根付くための関係づくりです。こどもを中心に据えた保育園というコミュニティが地域や街を巻き込みながら、こどもを育んでいく。保育園にそういう願いとコンセプトが埋め込まれています。いつか、行ってみたい!

「こどもがこどもらしく在れる場所」がまずは家庭の中に。そして、保育園に、さらには街に広がっていくこと。タイトルにも書いた通り、「子どもが子どもをしていることの豊かさ」を経済的な指標や教育的な学力/能力を脇に置いて、大切に守り育むことができる社会へ舵を切ろう。 

まちの保育園をしっていますか
まちの保育園代表 松本理寿輝 小学館/¥1,296
購入は庭ストアから

Susumu Fujita

20代から庭とこどもと本にとりつかれ、いまだその間を行ったり来たりしている。学生の時は旅人に憧れながらも、卒業後、土から離れられない農民になり、鶏と豚と野菜の中で過ごす。その後、札幌に戻り、絵本屋になる。庭プレス、ひげ文庫主催。