さつきちゃんの育児日記 Day 1

はじめての呼吸 〜息を吸い込む〜

娘が生まれました。生まれたばかりの娘を見ながら、「はて、羊水の中から外へでてきた時の感覚ってどんなだろう? 」と妻を横目に想像していました。胎内から胎外へ。劇的な変化です(胎内の方が心地いい気がする)。体感温度も違うし、身体にかかる重力も増す。何より呼吸が始まる。僕は、いまじゃ無意識で呼吸しているけど、一番最初の呼吸は、とても大変なことかもしれない。そして、はじめての呼吸は、オギャーと共に息を吐き出すことから始まるのか、それとも、深呼吸みたいに吸い込むことから始まるのか?そんなことを考えていて、とても疑問に思ったのでした。


そこで、はじめて呼吸する時に、何が起こっているのか、お医者さんに聞いてみました。まず、胎内では使っていなかったぺしゃんこ状態の肺が膨らんで、息が吸い込まれます。そして、「パッ」と肺が膨らんで、そこにできた空洞にはじめての呼気がはいる。そう、呼吸は「吸う」ということから始まり、それから空気が吐き出されて、それが産声になり、「おぎゃー」という。ぼくも体験したことのはずなんですが、全然覚えていません。息をするって、命がそこにある証なんだなぁ。

「さつきちゃんの育児日記 Day 1」は庭しんぶん #001に掲載されています。

Susumu Fujita

20代から庭とこどもと本にとりつかれ、いまだその間を行ったり来たりしている。学生の時は旅人に憧れながらも、卒業後、土から離れられない農民になり、鶏と豚と野菜の中で過ごす。その後、札幌に戻り、絵本屋になる。庭プレス、ひげ文庫主催。